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1.09.2011

Doing Business in the United States

皆様、明けましておめでとうございます。
今年1回目の投稿が、お正月から10日が過ぎようとしている時点で、今年の更新頻度の低さを予想しているかのようですが、今年も、「可能な範囲で」、アメリカの法律問題や文化等を紹介していければと思っています。

さて、今年1回目が簡単な投稿で恐縮ですが、Squire Sanders法律事務所のメモを見つけましたので、紹介します(私が所属している事務所とは無関係です。)。
既に、このブログでも触れた論点も多いですが(Business EntitiesやEmployment Issuesなど。)、日本企業が、米国に進出するにあたり検討するべき論点を抽出できるという点では有用なメモかと思います。もちろんここに掲げられているのが全てではない場合がほとんどだと思います。

8.30.2010

LLC v. Corporation

改めてご挨拶

大変ご無沙汰してしまいました。
5月末に最後の投稿をして以降、6月はW杯TV観戦、7月は妻のCalifornia Bar受験の応援、8月は夏休みとその後山積した仕事の片付けをしていたらあっという間に3ヶ月が経過してしまいました。
継続的にブログをつけられている方の気力がいかにすごいかを、改めて痛感した3ヶ月間でした。
その間に読んだ雑誌や経験したこと等も少なからずありますので、徐々にまた復活できればと思います。また、妻の受験中に、私がCal Bar (カリフォルニア州の司法試験)を受験していた際のことも思い出しましたので、私の受験体験記も、機会を見つけて紹介できればと思っています。

日本企業の米国子会社の法形態について

さて、復帰一回目は、表題のとおり、比較的基本的な話題を提供したいと思います。
日本の企業が、初めて米国(例えば、カリフォルニア州)に進出することを決めた場合、米国に拠点を設けることになると思いますが、かかる拠点をどのような法形態にするべきかという問題が生じます。

法人vs支店

まず、法人の形態を採るか、支店の形態を採るかという問題があります。
もし、かかる米国の拠点が、情報を収集するだけだとか、契約の主体になったり、利益を出すことを想定していない様な場合には、設置が簡単な支店の形態を採ることもあり得るかと思います。
しかし、上記のような特殊の場合でない限り、一般的にはお勧めできません。まず、支店である以上同一法人となるので、米国でビジネスをしていく上で生じるリスクは全て日本の法人にも遡及することになります。また、利益を出した場合にも、米国において、日本企業を含むforeign corporationに対してBranch Profit Taxが課せられることになり、支店であることのメリットが生かせません。

LLC vs Corporation

ここからが本題ですが、米国子会社に法人という法形態を採るとしても、LLCかCorporationのどちらにするか、という問題があります。結論からいいますと、大多数の日本企業はCorporationを選択しています。

LLCを採用することの最大のメリットは、パススルー課税(構成員課税)にあります。これにより、LLCで生じた利益は、LLCの段階では課税されず、構成員(つまりCorporationでいう株主)の段階でのみ課税されることになります。
しかし、この形態を採ると、日本企業が構成員になる場合には、日本企業は米国において税務申告をしなければいけなくなります。この場合、損益は合算されるので日本でのビジネスについてまで米国の税務当局(IRS)に申告しなければいけなくなり、大抵の日本企業は,これを敬遠します。

また、Corporationの場合には、Corporationの段階でIncome Taxが課税され、その後利益が配当として株主に配当された段階でも益金(所得)として認識され法人税(所得税)が課されるのが原則(2段階課税)ですが、日本法上、外国子会社配当益金不算入制度が平成21年の税制改正で導入され、外国子会社から受ける配当の一部(95%)を益金に算入しないことが認められています(同制度導入以前も、間接税額控除制度がありました。)。つまり、外国子会社の配当のほとんどを、法人税の対象となる益金として参入しなくてよく、2段階で課税されることがなくなりました。因みに、LLCでも上記制度は適用されるようです。詳細はこちら

さらに、親子会社間配当については原則として、源泉地国において、10%の限度税率が課されますが、日米租税条約により、50%超の株式を保有するCorporationで一定の要件を満たす配当については、免税措置が執られるようになりました。日本企業の米国子会社の多くは、これに該当すると思われますが、因みに、10%~50%の保有割合の場合には、5%の源泉徴収が課されることになります。

上記のように、多くの場合、日本法上の外国子会社配当益金不参入制度と日米租税条約上の源泉徴収免除措置により、Corporationを選択する際の、LLCと比較した場合のデメリットが、ほぼなくなっており、これが、日本企業の米国子会社の法形態としては、圧倒的にCorporationが多い理由となっているようです。

ちなみに、S Corporationという法形態もありますが、これは株主がUS ResidentsかUS Citizens(個人)でなければならないので、日本企業が米国に拠点を置く際にはほぼ用いられません。

なお、Corporationの形態を採るとして、どこの州で設立するかという問題もあります。この点については稿を改めたいと思います。

3.20.2010

State Tax

State Taxに関する所内のセミナーの概要です。

State Taxの代表例としてはSales and Use Taxが挙げられ、Sales Taxとは、売主が買主から徴収した上で支払う税金で、Use Taxとは、売主が徴収しなかった場合に、買主が報告・支払うものです。当然のことながら、各州で税制が異なり、どの州でいくら支払うのかにより、トータルで支払う州税が異なってきます。このコンセプトは、日本法に親しんでいる方、日系企業の方(米国のビジネスに長年精通している方はともかく)にはなじみのない概念であるかと思い、本ブログで取り上げようと思います。

I.Substantial Nexus
まず、Sales Taxが課される前提として、被課税者がその週にSubstantial Nexusがある事が必要となります(minimum contactだけでは足りない。)。具体的には、Physical Presenseがその州にある事が必要となります。 (Quill, US S. Ct. 1992)

II. 基本的な枠組み。
I. が満たされた場合、次に各州の州税の算出方法が問題となりますが、

州税=[Tax Base] × [Apportionment Factor] × [Tax Rate]

という算式に表すことが出来ます。

[Tax Base]とは、一般にNet Income, Gross Receipts, Book Income等が用いられますが、かかる概念は、週によって異なる場合があるようです。
[Apportionment Factor]とは、ある取引の要素が複数の週にまたがる場合に、かかる取引によって生じるTax Baseをどのように配分するかという事に用いられる要素です。例えば、Sale of Goodsの場合には、Sales が発生したのは仕向地とするか荷渡地とするか、どのような割合にするかによって、決まる事になります。この配分方法も各州によって異なりますし、解釈の余地がある場合もあります。
[Tax Rate]とは、各州の税率ですが、各州によって税率が異なります。

上記のように、各要素が各州によって異なる場合があることから、税率の低い週に、Apportionmentの割合を高める事により、節税が可能になります。また、Apportionmentの算出方法自体も各州によって異なる事から、算出方法の運用、解釈次第では、トータルの割合を100%未満にする事も節税対策となります(逆に、100%以上の配分になってしまっている例もあるようです。)。

III. Combined Filings
また、州によっては、関連会社のSales TaxをCombine (連結)して納税する事ができます。その場合、[Apportionment Factor]は関連会社を総合してみて決まる事になります。これは、ある一つの州の州税の徴収方法の問題なので、[Tax Rate]は同じですが、各関連会社の[Apportionment Factor]が異なりうる為に、各社がそれぞれTaxを支払う場合と、まとめて支払う場合とで、総額が異なる場面が出て来るので、各場面に応じて、どちらが有利かを検討する必要があります。

IV. Exemptions
さらに、州によっては、下記のような物に対しては非課税になる事にも留意する必要があります。
1. Intangibles
2. Improvements to realty
3. Manufacturing equipment
4. Services vs. tangible property
5. Bad debt