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1.28.2011

2011 HSR Filing Threshold

今年のHSR filingの基準額が公表されたので、備忘録まで。

詳細は、Googleに入れると情報がたくさん出てきますが、一例はこちら

1.11.2011

US Takeover Guide

またまた簡単な投稿で恐縮ですが、表題の件に関するクリフォードチャンスのメモを見つけましたので、備忘のためアップします。

実務の流れに沿って、検討するべきこと、なすべきことが記載されており、参考になるかと思います。

1.09.2011

Doing Business in the United States

皆様、明けましておめでとうございます。
今年1回目の投稿が、お正月から10日が過ぎようとしている時点で、今年の更新頻度の低さを予想しているかのようですが、今年も、「可能な範囲で」、アメリカの法律問題や文化等を紹介していければと思っています。

さて、今年1回目が簡単な投稿で恐縮ですが、Squire Sanders法律事務所のメモを見つけましたので、紹介します(私が所属している事務所とは無関係です。)。
既に、このブログでも触れた論点も多いですが(Business EntitiesやEmployment Issuesなど。)、日本企業が、米国に進出するにあたり検討するべき論点を抽出できるという点では有用なメモかと思います。もちろんここに掲げられているのが全てではない場合がほとんどだと思います。

11.24.2010

FCPA: Strong and Getting Stronger

表題のWSJの記事のご紹介。

ここ2年の罰金の総額が$2 billionというのは驚きです。
あと、半分以上のケースが、非米国企業又は非米国企業の子会社という点にも留意が必要ですね。

最近投稿が少ないので、取り急ぎ簡単に。

4.29.2010

Bankruptcy Sale (363 sale)

今年に入って表題のBankruptcy Sale に関するdealを目にする数が減ってきましたが、景気の動向に関わらず、倒産した会社から資産を譲り受ける場合はあると思います。そこで、Chapter 11下の会社(以下「債務者」、a debtor-in-possessionの意)から、連邦破産法363条に基づいて、資産を譲り受ける場合の手続きと効果について、概観します。

I. 手続き

1.初回入札

まず、購入予定者は、債務者との間で資産譲渡契約(Asset Purchase Agreement)を締結します。この契約は後述のように破産裁判所の許可が必要ですが、もし、破産裁判所の許可が得られない場合には、どちらかの当事者がこの契約を終了させることができる様に構成するのが通常です。この購入予定者は、当該資産の底値を示すことから「おとり入札者(stalking horse bidder)」とも呼ばれます。

なお、この購入予定者は最初の入札の際に必要な時間と費用をかけていることから、この点を保護するため、購入予定者は、その後の競売手続において、より高額を提示する応札者がいた場合のための契約保護条項(通常、費用の償還や購入価格の3%の違約金)を設定するのが通常です。

2.売却通知/競売手続

債務者は、全債権者に売却を承認してもらうため、20日間の意見聴取期間を設けます。その後、債権者からかかる売却に関し異議がでた場合(又は異議がでない場合であっても)、破産裁判所は、競売手続を踏むことを求めることがあります。より高い、より良い提示がなされる可能性がある場合にはかかる手続きを踏むことが多いと思われます。

3.売却審査手続

競売手続を終えた後、破産裁判所は落札者の入札条件及びそれに付随する譲渡契約を勘案し、落札者への売却を許可するかについて審査を行います。同時にかかる売却に関し、異議があった場合の異議の内容についても審査します。その後売却許可が出された場合には、かかる許可は、裁判所が別途指示しない限り、10日間その効力が維持されます。

4.クロージング

このような売却手続は、多くの場合、裁判所からの売却許可が下りたら直ちにクロージングが行われますが、裁判所が効力発生までに最大10日間の期間を設定した場合には、当該期間が経過したときに、クロージングが行われることになります。

II. 効果

債務者は、当該資産を担保権、更生債権、その他負担が除去された状態で売却することができます。

III. その他留意点

上記手続きを経ずとも、通常の業務過程においては、債務者は、裁判所の許可なく資産を売却することができます。通常の業務過程には、通常業務において生じる在庫の売却などが含まれます。

4.28.2010

Foreign Corrupt Practices Act (FCPA)

昨年あたりから議論の俎上にのることが多くなったFCPAに関しての投稿です。

そもそも日本企業にFCPAの適用があるのかというところが最初に問題となりますが、この点についての記事Daniel Margolis and James Wheaton "Non-U.S. Companies May Also Be Subject to the FCPA"を見つけました。なお、ここで日本企業とは日本で設立された会社を指すことにします。また、適用される可能性がある場合の対策については、稿を改めたいと思います.


この記事によりますと、FCPAが日本企業に適用される場合として以下の4つの場面をあげています。
1.日本企業の米国子会社及び日本企業が、当該日本企業又はいずれかの子会社において雇用している米国人(U.S. Nationals)
2.米国のSecurities Exchange Act of 1934 Section 12に基づき証券を登録している者またはSection 15(d)に基づき届け出をしている者
3.日本企業の米国子会社が問題となる外国の企業とJoint Ventureを組成していたり、当該外国のAgentを使用している場合。
4.米国のTerritory内で、Anti-Bribery Provisionに抵触するような行為を行った場合(例えば、米国内で、外国の公務員等に賄賂を供与する場合)

1.から3.については、気をつけなければいけない場合が割とはっきりしていると思いますが、4.については注意が必要かと思われます。
米国に子会社がない場合や米国と関係ないビジネスをしているつもりであっても、米国内において当該行為が行われた場合(例えば、米国内のBanking Networkを使用する場合)にはDomestic Concernがあるとされて、FCPAに抵触することになります。実際にある日本企業の従業員が拘束された事例もありますので、注意が必要です。
カルテル(談合)等の事案にも当てはまることですが、米国においてこの手の経済犯罪では、企業に対する罰金だけでなく、実際に罪を犯した従業員が拘束される事例が多々あります。この点は、日本での運用と著しく異なる点だと思うので、留意が必要です。

また、米国内で行うことを避けたからといっても、日本にも同様の禁止規定があります(不正競争防止法18条。但し、FCPAのように積極的な運用がされているかについては、手元に資料がないので、不明です。)。また、英国でも最近より厳しい規制が制定されたようです(Bribery Act 2010)。さらに、当然のことながら贈賄等の対象となる公務員が所属する国にも禁止規定がある場合が多いと思います(適切な運用がなされているかは別問題としても。)。

新興国や発展途上国でのビジネスに関与されることが多い企業におかれては、益々当地の公務員等に対する便益を提供することをビジネスの獲得手段として使うことは難しくなって来たといえ、実際にビジネスに携わる部門の方々へのこの点の周知徹底が重要になってくると思われます。

4.18.2010

Data Security and Privacy Issues in Labor and Employment

アメリカにおいて、従業員を雇用している企業であればほぼ全ての企業が、dataやprivacyのsecurityに関して対策を講じる必要があります。
Data Security and Privacy lawsに関して、日本では個人情報保護法があり、EUでも個人情報保護に関して強い規制(directive)があると聞いていますが、アメリカでは上記のような網羅的な法律はありません。実際にEUの規制上、EUの個人情報をアメリカに移すのは難しいという話も聞いたことがあります。また、日本での個人情報の保護意識の高まりはご存知のことと思います(個人的には少し行き過ぎのような気がしますが。)。

上記のような背景事情から、アメリカでのData Security and Privacy Issuesの規制は緩いものと思いがちかもしれませんが、特にここ数年、アメリカでもdataやpersonal informationのsecurityに関心が集まって来ており、留意する必要があります。

なお、セミナーでは雇用関係の側面から、本件問題を取り上げていましたので、この投稿でもかかる観点からの報告になります。

I. 制定法の概観

アメリカでは、Health Care Providers等を対象としたThe Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996 (HIPAA)や金融機関を対象としたGramm-Leach-Bliley Act of 1999 (GLBA)など、特定の業種に対して制定されている法律があるので、これらの法律の対象となる業種の企業は、それぞれの法律に従う必要があります。

上記以外の業種の企業であっても、従業員を雇用している企業であればほぼ全ての企業が、dataやprivacyのsecurityに関して対策を講じる必要があると思います。 

なぜなら、アメリカの45州では、情報の漏洩があった場合にはかかる事実を開示する義務を企業に課しており(例えば、カリフォルニア州では、CAL. CIV. CODE § 1798.82)、かかる義務に基づき開示を行った企業に対して訴訟が提起される例が急増しているからです。

また、この開示を端緒として、Federal Trade Commission(FTC)のInvestigation(捜査)が行われることもあります(See Section 5 of FTC Act)

II. 訴訟の原因

漏洩の原因の中で20%以上を占めるのが従業員によるものだということです(さらにそのうち3分の2は従業員の故意によるもの)。

そして、上記で触れた訴訟において問われるのは、

• 情報を漏洩した従業員を雇用した責任(negligent hiring and retention)

• 情報安全保管義務違反、

• その他FCRA, FCFAA違反等法定の義務違反

• 漏洩した事実の開示による株価下落の損害賠償請求又は derivative cases(代表訴訟)

さらに、まだ実際に原告に損害が発生していない段階でも、漏洩が今後起こらないように監視を求めることを要求する場合もあり、その場合にかかるコストは事前に行う場合に比して、高額になる場合もあるようです。

III. 対策

上記のようなリスクを出来る限り回避するために、以下のような対策が考えられます。

• どの情報がSensitive Dataなのかを知り、かかるDataの所在(どこからどこに情報が流れて行くかということも含みます。)を把握する。

• 誰にアクセス権限があるのかを決定し、さらにその権限者の使用目的も限定する。

• さらに、詳細な管理の方法をマニュアルの形にする(また、そのマニュアルを効率的に運用させる。)。

• 情報を社外に出す場合の制限をかける。

• 情報を処分する際のルール(FACTA and the FTC disposal rule参照)を策定する。

• 従業員への研修(特に、漏洩が起きてしまったときの対応)を定期的に行い、理解を徹底させる。

• また、最近では、Cyber risk, privacy riskに特化した保険があるので、かかる保険に加入する。

特に、雇用関係では、

• 採用時のBackground Checkを行う際(各州法によって、要件が異なりますが、希望者の明確な同意を得ておく事が望ましい。)、

• 従業員との雇用関係が終了する際、

には慎重にSensitive Informationを取り扱う必要があります。

3.28.2010

Compliance Programs

引き続き同じ雑誌の下記の記事について。

記事は(こちらはログインしなければ原典にはあたれないようです。)、独禁法に焦点を当てていますが、一般的なCompliance Programにも該当する部分についてご紹介したいと思います(US Sentencing Guidelines参照)。

I. Setting Up Standards and Procedures
Compliance manualの作成。通常業務に従事している従業員が短時間で読んで理解できるようできるだけ短く簡潔に分かり易く書くことが望ましい。

II. Assignments of Responsibility
取締役会の監督(Programの内容運用についてレポートを受け取り、適切な改善策を講じる)、Compliance Officer(又はTeam)の選任。
但しかかる選任に当たり、違法行為、Compliance Programに抵触する行為を犯した者ではないことの調査を行うこと。

IV. Communication of Standards and Procedures
Compliance Manualの配布だけでなく、研修を継続的に行い、対象者の理解を深める努力を行うこと。特に、どのような場面(行為)に遭遇した場合に、どのようなタイミングで報告を行うかは重要な点。

V. Certain Measures to Ensure Compliance
Compliance Officer (Team)による監督、定期的なManualの評価、さらにはHotline(通報制度)の確立、適切な運用。

VI. Consistent Enforcement
これは、どの従業員に対しても平等に運用し、一定の対応をすること。

VII. Follow-up on Detected Offences
適切、迅速な懲罰手続きの履践、内部調査の履行、それに伴う関連文書の保存(これは前回同様e-Discoveryのlegal hold noticeや関連監督機関(独禁法の場合のDOJ等)に対する報告等の関連で重要です。)。

3.16.2010

Initial Public Offerings 101


アメリカでIPO (Initial Public Offerings)の留意点

IPOプロセスの全てをここに記載する事は不可能ですが、実務上主な点、留意点、日本のプラクティスとの違い(私が知っている範囲でですが。)を中心に書き留めます。

1.準備期間:ケースバイケースではあるものの、特に途中で作業停止期間(実際はマーケットの状況に応じてストップする事もよくある。)や通常の作業以外の作業がなければ、準備を初めてからPricingまで、4〜6ヶ月
特に、日本との大きな違いは、SEC(日本の財務局)が行うレビューが詳細であるという事です。1ヶ月のレビュー期間の後、多いときには200以上のコメントがあり、それに全て対応する必要があります(変更しないとしても、何故変更しないのかの理由を明示する事も含む。)。最初の届出書提出から多いときには、5,6回変更届出書を提出することになります。

2.発行体(Issuer)がなすべきこと
(1) Board Resolution
(2) Registration Statement (有価証券届出書に相当)のドラフト
(3) D&O Insuranceへの加入又は変更
(4) SOX法への対応
(5) Financial StatementのAuditを依頼
(6) (必要に応じて)株式のリストラクチャリング(如何にValuationをするかにより、株式分割(stock split)、株式併合(reverse stock split)を行う)
(7) Registration Rightsがある場合の対応(通知を出したり、それにより参加を表明する株主への対応)
(8) Due Diligence (Back up materialsの整理(日本では、外国発行体ものに携わる事が多かったので、日本の内国会社のIPOもそうなのかもしれませんが、全ての届出書の記述に、証拠(Back up materials)を用意するのはかなりの作業量となります。)、Website等PR資料の精査(Gun Jumpingに抵触する記載の削除、変更等))
(9) (必要に応じて)Preferred Sharesがある場合のCommon Stockへの変更
(10)  (必要に応じて)株主総会決議事項の総会決議(上場後にするよりも簡潔に済むという意味合い。)
(11) 取引所(NYSE/NASDAQ等)への連絡、取引所で用いるsymbolの予約
(12) Transfer Agent(名義書換代理人)の選定

3.引受会社(Underwriters)がなすべきこと
(1) Underwriting Agreement(10b-5対策, negative assurance)のドラフト,交渉
(2) Officers, Large ShareholdersとのLock Up Agreements(通常は180 days)のドラフト、交渉
(3) FINRA filing(引受契約の公平、公正を担保するために提出する書類)

4.会計事務所(Auditor)がなすべきこと
(1) Regulation SXに基づくFinancial Statementの準備
(2) UWに宛てたComfort Letterの作成

Increase Antitrust Enforcement and Litigation

最近(といっても昨年末)のAntitrust Enforcementに関する所内のセミナーの概要です。

I. 企業のフロントオフィスの方に是非守っていただきたいこと。
・競合他社と、"値段"に関しては絶対に話し合ってはいけない。
・競合他社と、値段以外のことに関して話し合うときも、法務部や弁護士に相談すること。
・顧客、販売店、サプライヤーとの取引を終了させ、また、取引を拒否するときは、法務部や弁護士に相談すること。
・Document retention and destruction policies (文書管理規程)を十分理解し、遵守すること。

II. 最近の刑事犯摘発動向
ここ数年で罰金の額が急増している点に留意する必要があります。また、米国では、当然のように個人も勾留され、実刑判決を下される点にも留意する必要があると思います。

III. Merger Enforcment
FTC(アメリカの公正取引委員会)は、Merger dealが成立した後、1〜3年を経過した後にでも、当該dealの当否について調査を開始したり、場合によっては当該dealの無効を裁判所に訴えることがあります。最近かかる件数が増加傾向にあることに留意が必要です。これらのケースは、HSRの届出(事前の届出)をしており、それに対してWaiting Period中には特にFTCがActionを起こしていない場合にもおこっています。従って、各ディールの際に、かかる事態を想定した契約条項を盛り込む必要があります。

IV. 気をつけるべき産業
また、昨年就任したAAG Varney(Antitrustを所轄する官庁のトップ)は、Agriculture, Telecom, Newspapers, Financial Industries, Health Care, and Technologyを、今後注視する分野であると発言している点にも留意する必要があります。

V. 最近のSupreme Courtの判決
Texaco Inc. v. Dagher (2006) - Joint Ventureの参加者間の価格設定が、"agreement among competitors"には当たらないとされた事例。

Illinois Tool Works Inc. v. Independent Ink, Inc. (2006) - 特許があるからという事情のみをもって、market powerがあるとはみなされないこと、Tying Arrangementsが、Rule of Reasonによって考慮される事を判示した事例。

Bell Atlantic Corp. v. Twombly(2007) - Antitrust consipiracyの主張は、plausible(Injury, Market definitionの双方に関して。いい訳が思い浮かびませんが、「信憑性のある」)でなければならないと判示した事例。Plausibleであるといえるためには、consipiracyを推認させる事実の摘示を行うことを原告に要求しています。これにより、訴訟の初期段階で事実の整理ができ、企業側の大規模なDiscoveryの負担がかなり軽減されたようです。

Leegin Creative Leather Products v. PSKS, Inc. (2007) - Resale Price MaintenanceがRule of Reasonによって考慮される事を判示した事例。ただし、州によっては、まだPer se illegalの枠組みで判断されることに注意が必要です。

V. Per se illegal v. Rule of Reasonに関するまとめ。

A. Per se illegal for Competitorsと判断される類型が、
・Price Fixing
・Bid Rigging
・Customer Allocation
・Market/Territory Allocation
・Agreed Limitations on Output/Production
・Group Boycotts

B. Rule of Reasonの中で判断される類型が、
・Exclusive Territories or Customers
・Exclusivity Dealing Arrangements
・Tying, Loyalty Discounts or Bundling Arrangements
・Resale Price Maintenance
・Refusals to Deal / Dealer Termination

と分別されます。

VI. American Needle case
さらに、American Needleに関する解説もありました。これは、NFLのライセンシングに関わる事例で、耳目を集める事件なのですが、あまり自分のプラクティスや日系企業の法務とは関係がないので(NFLの団体の法的性質が論点になっていたりして)、割愛させていただきます。