4.28.2010

Foreign Corrupt Practices Act (FCPA)

昨年あたりから議論の俎上にのることが多くなったFCPAに関しての投稿です。

そもそも日本企業にFCPAの適用があるのかというところが最初に問題となりますが、この点についての記事Daniel Margolis and James Wheaton "Non-U.S. Companies May Also Be Subject to the FCPA"を見つけました。なお、ここで日本企業とは日本で設立された会社を指すことにします。また、適用される可能性がある場合の対策については、稿を改めたいと思います.


この記事によりますと、FCPAが日本企業に適用される場合として以下の4つの場面をあげています。
1.日本企業の米国子会社及び日本企業が、当該日本企業又はいずれかの子会社において雇用している米国人(U.S. Nationals)
2.米国のSecurities Exchange Act of 1934 Section 12に基づき証券を登録している者またはSection 15(d)に基づき届け出をしている者
3.日本企業の米国子会社が問題となる外国の企業とJoint Ventureを組成していたり、当該外国のAgentを使用している場合。
4.米国のTerritory内で、Anti-Bribery Provisionに抵触するような行為を行った場合(例えば、米国内で、外国の公務員等に賄賂を供与する場合)

1.から3.については、気をつけなければいけない場合が割とはっきりしていると思いますが、4.については注意が必要かと思われます。
米国に子会社がない場合や米国と関係ないビジネスをしているつもりであっても、米国内において当該行為が行われた場合(例えば、米国内のBanking Networkを使用する場合)にはDomestic Concernがあるとされて、FCPAに抵触することになります。実際にある日本企業の従業員が拘束された事例もありますので、注意が必要です。
カルテル(談合)等の事案にも当てはまることですが、米国においてこの手の経済犯罪では、企業に対する罰金だけでなく、実際に罪を犯した従業員が拘束される事例が多々あります。この点は、日本での運用と著しく異なる点だと思うので、留意が必要です。

また、米国内で行うことを避けたからといっても、日本にも同様の禁止規定があります(不正競争防止法18条。但し、FCPAのように積極的な運用がされているかについては、手元に資料がないので、不明です。)。また、英国でも最近より厳しい規制が制定されたようです(Bribery Act 2010)。さらに、当然のことながら贈賄等の対象となる公務員が所属する国にも禁止規定がある場合が多いと思います(適切な運用がなされているかは別問題としても。)。

新興国や発展途上国でのビジネスに関与されることが多い企業におかれては、益々当地の公務員等に対する便益を提供することをビジネスの獲得手段として使うことは難しくなって来たといえ、実際にビジネスに携わる部門の方々へのこの点の周知徹底が重要になってくると思われます。

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