4.08.2010

Arbitration Clause - ICC v. AAA (v. JCAA) -

契約書を作成している際に、Arbitration Clauseを設けるか、設けるとしてもどの機関を利用するのか、については問題となることがあります。

日本の中だけで完結する契約においては、仲裁合意条項を設けるのは少ないと理解していますが、アメリカでは割と多く見受けられます。これは、アメリカでは訴訟手続きにJury System(陪審制)があることが大きな理由であると理解しています。

まず、紛争解決手段として仲裁を選択する場合、仲裁合意条項を記載する必要がありますが、同条項について、どの範囲の紛争について当事者が仲裁による解決の意思があるのかを明確にさせる必要があります(See Kuhn Constr, Co. v. Diamond State Port Corp, No. 124, 2009 (Del. Supr. Mar. 8, 2010)。
また、雇用契約の場合等一定の場合には、仲裁合意の仕方によっては当該条項が無効となる場合(例えば、カリフォルニア州)もありますので、書き方に留意する必要があります。

紛争が起きた場合に、仲裁により解決することを決めた場合、次にどの機関を利用するかが問題となります(アドホック仲裁と言って、機関を利用せずに仲裁を行うという手段もあります。)。仲裁機関としてよく見られるのが、American Arbitration Association ("AAA")やInternational Chamber of Commerce ("ICC")です。

AAAは、New York Cityに本部があり、International Center for Dispute Resolution (ICDR)という機関が管理機関となります。ICCは、Parisに本部があり、Court of Arbitrationという機関が管理機関となります。この管理機関は、書面のやり取りや仲裁人の選出等に関与するのみで、実際に仲裁判断を行う仲裁裁判所(arbitration tribunal)とは異なります。ただ、ICCのCourt of Arbitrationの方がAAAのICDRより関与の度合いは強く、手続き面でTerms of Reference(当事者の主張の整理や争点の整理を行う書面)を作成したり、仲裁裁判所の作成する仲裁判断を精査したりします。
どちらが有利か、どちらの機関を選択するべきかは、一概に決められるものではありませんが、一般的な評判としては、ICCの方が、仲裁人として登録されている人の評判や事務手続きの効率が良いとされる反面、コストもAAAより高いとされる傾向にあるそうです。その他、準拠法がどこの法律か、当事者のdomicile、契約の履行地その他契約上の属地的な要素も、仲裁機関の選択に当たっての考慮要素ではないかと思われます。

その他にも、南カリフォルニアを中心とするJAMSや、日本商事仲裁協会("JCAA")など,各地域にたくさんの仲裁機関があります。
JCAAについてですが、手元に正確な数字はありませんが、ICC, AAAに比べると圧倒的に扱う事件数が少ないと理解しています。なお、私はJCAAを仲裁機関とした仲裁事件に関与したことがありましたが、(日本の裁判手続きと比較して)予想外に時間とコスト(仲裁人にも相当の費用を支払う必要があります。)がかかり、その件に関しては、裁判手続きではなく仲裁手続きを採用するメリットは少ないように思いました。

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