9.26.2010

Dealing with Private Equity Funds

米国のPEファンドの現況及びPEファンドを相手方とするM&A取引における留意点について概観します。

今後PEファンドがポートフォリオ会社を売却するという機会が増えてくると思われます。日本の企業にとっては、米国での事業展開を考える上で、かかる会社を取得するというのはひとつの選択肢になるかと思われます。

I. 米国におけるPEファンドの現況

Limited Partners (Silent Investorsとも呼ばれる。)
  • 主に、Pension funds (e.g. CALPERS), insurance companies, university endowments (e.g. Harvard Endowment Fund), and major charitable organizations, and some high net worth individualsがLPとして出資を行う。特に、最近増えているのが、中国や中東のSovereigns。世界のSevereignsが保有している資産総額は、USD 30.7T。当然のことながら、彼らにアプローチをするローファームも多いようです。
  • 投資期間は、主に7~10年程度。
  • UBTI (Unrelated business taxable income), VCOC (Venture Capital Operating Company)として認められ、非課税となるよう仕組むのが一般的。
PE Fund Management
  • GPが受け取るFeeとしては、2% Management Fee又は20% Carried Interest (Partnershipから生じる利益の内初期投資額を除いたもの)が通常。
  • 業界全体で約USD 1.0 trillionもの資金(Dry Powder)が眠っていると言われている。
  • LPの投資期間が7~10年で、過去2年間の異常事態により、ポートフォリオの売買ができなかったことから、今後ポートフォリオ会社の売却が増えることが予想される。
Leverage/Financing Acquisitions
  • 歴史的には30%程度がEquity Investment、それがバブル時に10%になり、現在は50%又はそれ以上つまなくてはいけない状態が続いている。
  • さらに、LOIのfinancing conditionsの記載方法が厳しくなってきている(留保事項が多い。)。
II. PEファンドとのM&A取引の際の留意事項
1.PEファンドからポートフォリオ会社を購入する場合
  • 売却先としてはStrategic BuyerとFinancial Buyer(また別のPEファンド等)の二通りが考えられますが、Strategic Buyerの方が通常シナジー効果をみて、高値でbidしてくることが多いので、PEファンドからすると、Strategic Buyerに売却したいと考える場合が多い。
  • Purchase Agreementを作成し、交渉する際に留意するべきなのは、Indemnity Clauseです。もちろん、通常のM&Aにおける重要性は否定しませんが、PEファンドから購入する場合には、売却後、同ファンドは売却金をLPに償還するのが通常です。いくらIndemnity clauseで売主の補償義務を規定していても、償還当時、実際当該条項が適用される事象が発生ししていなかったり、発生していたとしてもそのことをファンドが知らなければ、かかる償還は有効となってしまい(例えば、California Corporation Code Sec. 15905.09. Delaware Code Chapter 6. § 15-309)、Indemnity Clauseが有名無実化してしまう可能性があります。
  • この点に、対応するために有効なのが、escrowです(通常、2.5%~20%程度)。さらに、特定の事項(環境や係属している訴訟など)やworking capitalだけのために別途escrowを設けることもあります。
  • その他、保険をかけることもありますが、保険料(premium)が高いことから一般的ではありませんが、特定の事項(Product LiabilityやEnvironmental Conditions)を対象とするのであれば、有益である場合もあります。
2.PEファンドへ子会社等を売却する場合
  • 上記で触れたように、LOIのfinancing conditionsの記載方法が厳しくなっているのは、PEファンドがfinanceをつけるのが難しくなって来ていることの現れのようです。
  • 銀行とのterm sheetsを見せてもらう、当該ファンドまたはSponsorの銀行とのtrack recordのチェックということが考えられますが、それ以上に、このようなfinancing arrangementは、特にこのご時勢、状勢がすぐ変わるようで、これだけではあまり意味がない場合も多いようです。
  • 今のところ、最も強力な手段は、reverse break up feeを設定すること。一般的な相場としては、1%から3%ですが、既存のビジネスに多大な影響があるとか、経営陣,従業員の地位が不安定になる恐れが大きいとか主張して、もっと大きい額を勝ち取れるよう交渉して行くのが得策のようです。
  • LPからもcommitment letterを取得すること(が、リーマンショック以降これに応じるLPは少ないとのこと。)も考えられます。
  • PEファンドは、通常non-compete agreementsを締結したがらないが、限定した事項であれば締結に応じる場合もあるようです。

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