3.29.2010

Marmalade Cafe/Butter Consumption

本日は、Sherman Oaksにある表題のレストランで、Green Business関連のアメリカ人3名(ビジネスコンサルタントとベンチャー企業経営者とハイテク製品を扱っている企業のBusiness Development部門の方)と、ビジネスランチでした。

前にお会いしたEV(電気自動車)事業のベンチャーを経営している人もそうだったのですが、Thousand Oaks方面でClean Tech関連のビジネスをしている人が多く、ダウンタウン勤務の僕との中間地点ということで、Sherman Oaksが選ばれたのです。僕は、Sherman Oaksは初めてでしたが、治安の良さそうで歩いている人や走っている車からしても、裕福そうな街であることが窺えました(ただ、朝夕の渋滞はひどいと思います。)。

ミーティングは、それぞれが自分のしていることを話し合い、今後うまくビジネスが繋がっていけばいいね、みたいな感じで終わったのですが、お伝えしたかったのは、出席者の一人(ビジネスコンサルタントの方)のバター消費量。。。。Green Businessに携わっているからか、Saladだけを頼んで(といっても、こちらのランチで出てくるSaladはかなりの分量ですが)、Health-consciousぶりを発揮しているかと思いきや、最初に出されるパンに、ひたすらバターを塗り続け、パン二つを食べるのに、小さめではあるものの、使用したバターのパックは、何と8個。。。。思わず、全部数えてしまいました。
その方の体格については、ご想像のとおりです。。。

ビジネスコンサルタントの方だけに、自分をアピールする方法もアメリカ人らしく、堂々たるものだったのですが、カロリー摂取量も目を見張るものがあり、アメリカ人のバイタリティを見せつけられたランチでした。。。

ちなみに、僕が注文したのは、ランチ用のEgg Benedictでした。とても美味しかったのですが、残念ながら少し残してしまいました。

3.28.2010

Compliance Programs

引き続き同じ雑誌の下記の記事について。

記事は(こちらはログインしなければ原典にはあたれないようです。)、独禁法に焦点を当てていますが、一般的なCompliance Programにも該当する部分についてご紹介したいと思います(US Sentencing Guidelines参照)。

I. Setting Up Standards and Procedures
Compliance manualの作成。通常業務に従事している従業員が短時間で読んで理解できるようできるだけ短く簡潔に分かり易く書くことが望ましい。

II. Assignments of Responsibility
取締役会の監督(Programの内容運用についてレポートを受け取り、適切な改善策を講じる)、Compliance Officer(又はTeam)の選任。
但しかかる選任に当たり、違法行為、Compliance Programに抵触する行為を犯した者ではないことの調査を行うこと。

IV. Communication of Standards and Procedures
Compliance Manualの配布だけでなく、研修を継続的に行い、対象者の理解を深める努力を行うこと。特に、どのような場面(行為)に遭遇した場合に、どのようなタイミングで報告を行うかは重要な点。

V. Certain Measures to Ensure Compliance
Compliance Officer (Team)による監督、定期的なManualの評価、さらにはHotline(通報制度)の確立、適切な運用。

VI. Consistent Enforcement
これは、どの従業員に対しても平等に運用し、一定の対応をすること。

VII. Follow-up on Detected Offences
適切、迅速な懲罰手続きの履践、内部調査の履行、それに伴う関連文書の保存(これは前回同様e-Discoveryのlegal hold noticeや関連監督機関(独禁法の場合のDOJ等)に対する報告等の関連で重要です。)。

3.27.2010

Cloud Computing Agreements

下記の記事を見つけたのでご紹介します。
Michael P. Bennett "Negotiating Cloud Computing Agreements", The Corporate Counselor (March 11, 2010)
Stuart D. Levi, Kelly C. Riedel "Cloud Computing ~Understanding the Business and Legal Issues~", Practical Law Journal (March 2010 Vol. 2 Issue 2)

最近増えて来たクラウドコンピューティング契約(Cloud Computing Agreements)を作成する際の留意点について書かれた記事です。
私の備忘録として、以下記載します。


  • 基本的に、Outsourcing Agreementsをベースに作成されたものが多いので、通常のOutsourcing Agreementsで想定される事項とどこが異なるかを意識すること。
  • Cloud Customerとしては避けるべき条項。
    • 紛争が生じた際に、VendorがCustomerのデータを留置できる条項。
    • データロス等に関する責任免除条項(関連して、バックアップ手順やデータリカバリーの手順についての明記。)。さらに、そもそもかかるリスクに対処するため、複数のCloud Vendorsを起用することも考えられます。
    • その他損害賠償の限度額が支払額が上限として設定されている場合(クラウドでは、初期費用が継続的に支払う額が低く設定されていることが多いことから、総額が低くなる傾向があります。)
    • 短期間の保証条項(Warranties)。
    • Force Majeure条項(不可抗力)。
  • Cloud Customerとして加えるべき条項。
    • Dataの移行手続(その裏返しとしての、終了する際の移行手続)。
    • Vendorが使用するハードウェア、OS、その他ソフトウェアの仕様の特定(これに対する一定の対価を支払うことになるため。)
    • 当該サービスを受けるために必要なソフトウェアのライセンスを受けることを明記。
    • サービス開始後のVendorのシステム等の閲覧、監査権(これは、先のpostでふれた、e-Discoveryにおけるlegal hold noticeとの関わりでも重要になってきます。)
  • US Export laws, Graham-Leach-Bliley Act (金融機関が対象)、EU Privacy laws (EU directive 95/46/EC)の検討。どこの法律が適用されるのか(データセンター、サーバーのロケーション等による)は重要な考慮要素。
  • サービスレベル(セキュリティ関係も含む。)については、Vendor側にとっては修正することが困難な場合又はフィーが格段に高くなることが多いようです(実際上、多くのCustomerに対して同じレベルのサービスを提供することになるため。)。ただ、Customerとしては、サービスレベルを特定し、それを下回るパフォーマンスしか提供されない場合の対処規定(違約金や解除事由)を定めておく必要がある。
  • Cloud Vendorは、Customerのdata を定量分析等に使用する必要があることもあり、当該契約のみならず、自社のポリシーもチェックする必要もでてきます。

3.23.2010

Earth Hour 2010

http://www.earthhour.org/TakeAction.aspx

上記のようなイベントのお知らせが回ってきました。
このサイトを見る限り立派なイベントのようです(しかし、ビルの電気を消す時間(1時間)をもう少し延ばしてもいい気が。。。)。

実際こちらで働いていると、驚くほど、PCやら電気やらをつけっぱなしにして帰る人が多く見られます。そのため、勤務先のローファームでは、オフィスの電気は一定時間誰もいないと自動的に消えたり、PCも午後10時で自動的にシャットダウンする(それ以降使う人は、シャットダウンする前に使用できるよう設定できます。)ような設定になっていますが、デスクランプとかは消えないまま放置されています。
また、化粧室でも手を洗うところにペーパータオルがあるのはもちろん、その後化粧室から出るドアのところにもペーパータオルが置いてあるのです(ドアの取っ手をそのペーパーで掴んで開けるため。)。

上記のような状況だからこそ、このようなイベントが必要なのかもしれません。
アメリカでも最近はエコ(go green)は流行していますが、まだまだ日本(にいる人たちの感覚)に追い付くには時間がかかるような気がしています。

3.21.2010

Business Seminar in Newport Beach

今回は、法律ネタではありませんが、私の大学の同窓会主催のビジネスセミナーに出席しましたので、そこで印象に残ったことを徒然に記します。

スピーカーの方は、30年日本の一流企業のアメリカ現地法人の社長としてご活躍され、現在もロサンゼルスにて有名な日系の慈善事業団体の理事を通じて社会貢献をしておられる方です。

大変貴重なお話を伺うことができましたので、印象に残った点をいくつか書き留めます。

1.日系企業の技術
日本の経済が戦後奇跡的な回復を遂げ、世界の1、2を争う規模になるまでになったのは、日本の企業(特に製造業等)の有する技術が優れていたということも一つの理由になったかと思いますが、これは、何も戦後一から築き上げたものばかりではなく、戦前から(軍や政府主導という部分も多かったようですが)脈々と受け継がれたものも多いということを知りました。
もちろん、戦後すぐには粗悪品が流通していたということも事実だとおもいます(今とは反対に、戦後すぐは"Made in Japan"と言えば劣悪品というイメージがあったようです。)。

2.GHQの貢献
スピーカーの方によりますと、マッカーサーは日本の経済は自律的な回復をしていかなければならないという信念があったようで、例えば、戦後間もなくフォードが戦前から有していた自動車の組み立て工場を再開しようと、人員を派遣しようとしたところ、上記のような信念のもとかかる人員に対するビザを発給しなかったということがあったそうです。

3.アメリカでの成功のカギ
A.宣伝の重要性
具体的には、Ad Agencyを起用するなど米国流にMarketing, Sales活動を展開していくべき、例え技術を持っていたとしても、この点をおろそかにして成功することはないことを強調しておられました。特に、今般のトヨタのような逆風下の環境においてこそ、宣伝への投資というのは重要であることを述べられていました。

B.アメリカ人にとって、日本人はミステリアスであることを認識すること
日本人も、アメリカに来た当初はアメリカ人の考え方等で認識が異なり、面食らうことが多いと思いますが、日本人のアメリカ人に対するイメージ以上に、アメリカ人は日本人がどういう事を考えているのか(一個人がどういう人間なのか)が分からないのだということを認識する必要があるとのことでした。そして、この点を打破するため、社内旅行をしたり、気軽に話し合える組織を設けたりと色々腐心されたそうです。
もちろん、自分がどのような人間かをアメリカ人にわかってもらうのは、言葉の壁もあり、一朝一夕にはいかないと思います。その意味で、2年や3年程度で配置換えになってしまうような駐在制度を持つ企業(や領事館)には批判的でした。
このことは、アメリカ人(や社会)が日本以上に、個人と個人のつながりを大事にするのだと言うことが前提のアドバイスだと感じました。

C.アメリカ人の情報の取り扱い方
アメリカ人は、情報を資産と考え、より慎重に扱う傾向があるとのことでした。あるアメリカ人の部下に社内の機密情報を提供し、その対応について相談したそうです。スピーカーの方は、同僚と相談することを暗に期待していたようですが、そのアメリカ人はそのような貴重な情報をむやみに共有することはないようです。

D.雇用条件
アメリカ人の中にも、終身雇用(待遇が若干悪くなっても)を望む人は多いそうです。
ただし、人をクビにする際は、訴訟リスクに対応するため、severance payを多くするなど、不満を持たれないように行うのが肝要だということでした。

4.まとめ
歴史的な経緯について勉強になりましたし、アメリカのローファームで、アメリカ人に混じって働いていく中で、日頃何となく思っていたことが、うまく整理され、今後の働き方にも多いに参考になるセミナーでした。

3.20.2010

State Tax

State Taxに関する所内のセミナーの概要です。

State Taxの代表例としてはSales and Use Taxが挙げられ、Sales Taxとは、売主が買主から徴収した上で支払う税金で、Use Taxとは、売主が徴収しなかった場合に、買主が報告・支払うものです。当然のことながら、各州で税制が異なり、どの州でいくら支払うのかにより、トータルで支払う州税が異なってきます。このコンセプトは、日本法に親しんでいる方、日系企業の方(米国のビジネスに長年精通している方はともかく)にはなじみのない概念であるかと思い、本ブログで取り上げようと思います。

I.Substantial Nexus
まず、Sales Taxが課される前提として、被課税者がその週にSubstantial Nexusがある事が必要となります(minimum contactだけでは足りない。)。具体的には、Physical Presenseがその州にある事が必要となります。 (Quill, US S. Ct. 1992)

II. 基本的な枠組み。
I. が満たされた場合、次に各州の州税の算出方法が問題となりますが、

州税=[Tax Base] × [Apportionment Factor] × [Tax Rate]

という算式に表すことが出来ます。

[Tax Base]とは、一般にNet Income, Gross Receipts, Book Income等が用いられますが、かかる概念は、週によって異なる場合があるようです。
[Apportionment Factor]とは、ある取引の要素が複数の週にまたがる場合に、かかる取引によって生じるTax Baseをどのように配分するかという事に用いられる要素です。例えば、Sale of Goodsの場合には、Sales が発生したのは仕向地とするか荷渡地とするか、どのような割合にするかによって、決まる事になります。この配分方法も各州によって異なりますし、解釈の余地がある場合もあります。
[Tax Rate]とは、各州の税率ですが、各州によって税率が異なります。

上記のように、各要素が各州によって異なる場合があることから、税率の低い週に、Apportionmentの割合を高める事により、節税が可能になります。また、Apportionmentの算出方法自体も各州によって異なる事から、算出方法の運用、解釈次第では、トータルの割合を100%未満にする事も節税対策となります(逆に、100%以上の配分になってしまっている例もあるようです。)。

III. Combined Filings
また、州によっては、関連会社のSales TaxをCombine (連結)して納税する事ができます。その場合、[Apportionment Factor]は関連会社を総合してみて決まる事になります。これは、ある一つの州の州税の徴収方法の問題なので、[Tax Rate]は同じですが、各関連会社の[Apportionment Factor]が異なりうる為に、各社がそれぞれTaxを支払う場合と、まとめて支払う場合とで、総額が異なる場面が出て来るので、各場面に応じて、どちらが有利かを検討する必要があります。

IV. Exemptions
さらに、州によっては、下記のような物に対しては非課税になる事にも留意する必要があります。
1. Intangibles
2. Improvements to realty
3. Manufacturing equipment
4. Services vs. tangible property
5. Bad debt

3.18.2010

E-Discovery - Revisited Zubulake

2010年1月15日に、e-Discoveryに関する判決(オピニオン)が出ました。The Pension Committee of the University of Montreal Pension Plan et al., v. Banc of America Securities, LLC, et al., 2010WL184312 (S.D.N.Y.)

アメリカに拠点を有する日本企業にとって、e-Discovery対策というのは、大変重要であるにもかかわらず、対応できていないことも多々あると聞いていますので、ここでも取り上げさせて頂きました。

そもそも、米国のDiscovery制度は、日本の司法制度にはない制度であり、その重要性がわかりにくいところがあると思うのですが、自分の側にある証拠を適切に保全しないことに対するsanctionは重大で(制裁金、相手側のコスト負担、弁護士の活動制限(例:Argumentの時間制限)、さらにはそれだけで敗訴になることすらあります。CCP §2230等)訴訟戦略においても、Discovery対策は重要な位置を占めます。

特にe-Discoveryについては、電子情報の保全という技術的にも難しい点もありますし、今日における電子情報の重要性に鑑み、米国においては注目されているトピックです。

今回のオピニオンにおいては、この関連する情報がなくなっており、証拠の保全がされていないという事実は過失(negligent)が推定されること、状況によっては、重過失や故意であると認められる場合もあると述べられ、さらに、以下のような措置をとる必要があることを述べています。

1.訴訟が実際に始まる前の段階で、訴訟が開始されることが「合理的に予想される」場合には、書面により、legal hold notice(これ以降証拠を変更、処分、処理をすることができなくなること)を出す義務があること。
2.弁護士の監督の下に保管義務のある者(custodian)が関連証拠を保全するよう促すこと。
3.当該当事者の占有下、支配下にあるものであれば、従業員や取締役等の証拠(潜在的に関連のあるものも含む。)であっても、これを保全する義務があること。
4.バックアップテープについても保全する義務がある場合があること。
5.当該保全行為については、真摯に正確であること(scrupulous accuracy)を表明する必要があること。
6.当該保全行為について関与した者でかかる過程をしっかり認識している者がいつでも出廷して証言できるように準備しておくこと。

訴訟となる可能性のある紛争を抱えている企業はもちろん、そうでない企業も、少なくとも自社の文書管理規程(document retention policy)を、このオピニオンに基づいて、整理しておく必要があると思われます。


最後に、今回の投稿のタイトルについて疑問に思われた方のために、Zublakeというのは、これまでe-Discovery手続きの指針となっていた6年前のZubulake v. UBS Warburg, のケースのことで、このときにオピニオンを書いたJudgeと同じJudgeが書いたオピニオンということでも、今回の判断は注目されています。

3.16.2010

Social Media in Employment



所属するローファームで行われた表題のセミナーの概要です。

背景:アメリカでは、55%の従業員がソーシャル・ネットワーキング・サイト(Facebook, Twitter等)に週一度以上はアクセスしており、そのうち15%は勤務時間中に見たことがあるとのこと。

対策:
1.何が許され、許されないかの雇用者の明確なルールが必要(例:PC等設備が雇用者にあること、当該設備の私的利用に対してプライバシー権を主張することができないこと、雇用者がかかる利用を監視する権利があること、差別的発言、ハラスメントの禁止等)。
2.服務規律等がソーシャル・ネットワーキング・サイトへのアクセスという場面でもあてはまること(例:児童ポルノ所持・閲覧、特許・著作権で保護される情報・営業秘密の漏洩、名誉毀損、職務怠慢)。
3.これらのことについて、従業員からの同意を得ておくこと(黙示の同意が認められる場面もありますが、書面で得られるのであれば、得ておいたほうが良いのは言うまでもありません。)。
4.これらのことについて、従業員に対する研修等で理解を徹底させること(違反例の共有をしたり、一方的に押し付けるのではなく、雇用者にとっての必要性があること(下記5.参照)を強調することが効果的かと思われます。)。
5.雇用者の義務があることの理解(他の従業員等から、監視を怠っているとして訴えられる可能性もあります。Doe v. XYZ Corp., 887 A.2d 1156 (NJ Super. 2005)参照。)。
6.監視は、雇用者のビジネス、他の従業員に関係するもののみに限定されること。
7.その他関連する法律(Federal Electronic Communications Privacy Act, (Exceptions: Provider Exception Prior Consent, Business Use Exception, Inadvertent Interception)、National Labor Relations Act (policy bargain))への理解。
8.サイトの削除が必要な場合には、当該サイトの"terms of use"規定に従うこと。
9.必要に応じて、関連官庁への報告を行うこと。

Initial Public Offerings 101


アメリカでIPO (Initial Public Offerings)の留意点

IPOプロセスの全てをここに記載する事は不可能ですが、実務上主な点、留意点、日本のプラクティスとの違い(私が知っている範囲でですが。)を中心に書き留めます。

1.準備期間:ケースバイケースではあるものの、特に途中で作業停止期間(実際はマーケットの状況に応じてストップする事もよくある。)や通常の作業以外の作業がなければ、準備を初めてからPricingまで、4〜6ヶ月
特に、日本との大きな違いは、SEC(日本の財務局)が行うレビューが詳細であるという事です。1ヶ月のレビュー期間の後、多いときには200以上のコメントがあり、それに全て対応する必要があります(変更しないとしても、何故変更しないのかの理由を明示する事も含む。)。最初の届出書提出から多いときには、5,6回変更届出書を提出することになります。

2.発行体(Issuer)がなすべきこと
(1) Board Resolution
(2) Registration Statement (有価証券届出書に相当)のドラフト
(3) D&O Insuranceへの加入又は変更
(4) SOX法への対応
(5) Financial StatementのAuditを依頼
(6) (必要に応じて)株式のリストラクチャリング(如何にValuationをするかにより、株式分割(stock split)、株式併合(reverse stock split)を行う)
(7) Registration Rightsがある場合の対応(通知を出したり、それにより参加を表明する株主への対応)
(8) Due Diligence (Back up materialsの整理(日本では、外国発行体ものに携わる事が多かったので、日本の内国会社のIPOもそうなのかもしれませんが、全ての届出書の記述に、証拠(Back up materials)を用意するのはかなりの作業量となります。)、Website等PR資料の精査(Gun Jumpingに抵触する記載の削除、変更等))
(9) (必要に応じて)Preferred Sharesがある場合のCommon Stockへの変更
(10)  (必要に応じて)株主総会決議事項の総会決議(上場後にするよりも簡潔に済むという意味合い。)
(11) 取引所(NYSE/NASDAQ等)への連絡、取引所で用いるsymbolの予約
(12) Transfer Agent(名義書換代理人)の選定

3.引受会社(Underwriters)がなすべきこと
(1) Underwriting Agreement(10b-5対策, negative assurance)のドラフト,交渉
(2) Officers, Large ShareholdersとのLock Up Agreements(通常は180 days)のドラフト、交渉
(3) FINRA filing(引受契約の公平、公正を担保するために提出する書類)

4.会計事務所(Auditor)がなすべきこと
(1) Regulation SXに基づくFinancial Statementの準備
(2) UWに宛てたComfort Letterの作成

In re Dow Chemical Company Derivative Litigation



Derivative Lawsuitに際して行うDemandが必要である(futileではない)と判断したDelaware Chancery Courtの事案。(C.A. No. 4349-CC, 2010 WL 66769 、Del. Ch. Jan. 11, 2010)
既に、各Law Firmにおいてメモランダムが出ていると思いますので、詳細はそちらに譲ります(かかるメモをご覧になりたい方は、お手数ですが私までご連絡下さい。)が、本件は、Dow Chemical Company ("Dow")が、Rohm & Haas("R&H")と2008年にMerger Agreementを締結したところ、その後の経済状況のためDowに損失が発生し、それに対して、Dowの株主がDowのDirectors, Officersに対して、Derivative lawsuit(代表訴訟)を提起した事案です。

基本的に、株主がDerivative Lawsuitを提起する場合には、Directorsに対してあるClaimを実行するようDemandを行うのが通常ですが、かかるDemandがfutile(無駄な)であると株主が判断した場合には、Demandを行わずに直接Derivative Lawsuitを提起する事が出来ます。

本件も株主がDemandを行わずにDerivative Lawsuitを提起し(多くの場合がそう)、Demandがfutileであるかが争われた事案です。この論点の判断には、従前通りAronson testが使われ、(i) a majority of the directors who approved the transaction in question were disinterested and independent,という点も 、(ii) the transaction was the product of the board's good-faith, informed business judgmentという点も、
Plaintiffの立証が不十分であるとの結論をみました。

留意点としては、(i)の点については、outside business relationship or personal relationshipsはindependenceの欠如の主張としては不十分であること、(ii)の点については、regardless of whether it is an isolated transaction or part of a larger transformative strategyと述べ、"bet the company"のような大きなディールであっても判断基準に差異はない事を明確にした点です。

また、(ii)の点について、最近の re Citigroup, Inc. Shareholders Litigation, 964 A.2d 106 (Del. Ch. 2009)において、 the court held that such "substantive second-guessing of the merits of a business decision...is precisely the kind of inquiry that the business judgment rule prohibits."と述べている点も影響しているものと今回の判断に影響しているものと思われます。

本ブログの目的。

このブログは、日々の業務やローファーム内外でのセミナー(公開されているもの)、その他自分で勉強したアメリカの法制度について、主に自分自身の備忘録として記録するものです。かかる備忘録が、読者の皆様がアメリカでの法律問題に直面したときの解決の指針になれば幸いですが、一般的な見解を述べているに過ぎず、これが直接読者に対するリーガルアドバイスになるわけではありません。また、自己紹介にもあるように、私はローファームに所属していますが、本ブログに記載されている事項は、当該ローファームの見解を示すものではなく、私個人の見解にすぎません。
できれば、日本法についても忘れないようにアップデートしていきたいのですが、時間の許す範囲で。。。。業務に関するものは、依頼者やプロジェクトを特定することができる内容にすることはできないですし、その他の記事も、上記の目的の範囲内の簡潔な記録になることをご了承ください。
また、このブログに記載されている内容は、私の備忘録を主な目的としていますので、誤り等があることもありますし、何らかの見解が書かれている場合も、私の個人的な見解に過ぎません。このブログの内容に依拠されて何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。なお、そのような誤り等に気づかれ、ご指摘いただくのは歓迎いたします。

随時、誤り等については修正していきたいと思っていますが、必ずしも修正箇所を示して修正を行わない場合があることにご留意ください。また、過去の記事やコメント、トラックバックについて、ブログに残しておくことが不適切と考えた場合には、随時(コメント、トラックバックについては、断りなく)修正ないし削除することもありますので、ご留意ください。

その他、仕事以外のことについても、徒然なるままに記録することになるかもしれません。ご興味があれば、そちらもあわせてご笑覧ください。

Increase Antitrust Enforcement and Litigation

最近(といっても昨年末)のAntitrust Enforcementに関する所内のセミナーの概要です。

I. 企業のフロントオフィスの方に是非守っていただきたいこと。
・競合他社と、"値段"に関しては絶対に話し合ってはいけない。
・競合他社と、値段以外のことに関して話し合うときも、法務部や弁護士に相談すること。
・顧客、販売店、サプライヤーとの取引を終了させ、また、取引を拒否するときは、法務部や弁護士に相談すること。
・Document retention and destruction policies (文書管理規程)を十分理解し、遵守すること。

II. 最近の刑事犯摘発動向
ここ数年で罰金の額が急増している点に留意する必要があります。また、米国では、当然のように個人も勾留され、実刑判決を下される点にも留意する必要があると思います。

III. Merger Enforcment
FTC(アメリカの公正取引委員会)は、Merger dealが成立した後、1〜3年を経過した後にでも、当該dealの当否について調査を開始したり、場合によっては当該dealの無効を裁判所に訴えることがあります。最近かかる件数が増加傾向にあることに留意が必要です。これらのケースは、HSRの届出(事前の届出)をしており、それに対してWaiting Period中には特にFTCがActionを起こしていない場合にもおこっています。従って、各ディールの際に、かかる事態を想定した契約条項を盛り込む必要があります。

IV. 気をつけるべき産業
また、昨年就任したAAG Varney(Antitrustを所轄する官庁のトップ)は、Agriculture, Telecom, Newspapers, Financial Industries, Health Care, and Technologyを、今後注視する分野であると発言している点にも留意する必要があります。

V. 最近のSupreme Courtの判決
Texaco Inc. v. Dagher (2006) - Joint Ventureの参加者間の価格設定が、"agreement among competitors"には当たらないとされた事例。

Illinois Tool Works Inc. v. Independent Ink, Inc. (2006) - 特許があるからという事情のみをもって、market powerがあるとはみなされないこと、Tying Arrangementsが、Rule of Reasonによって考慮される事を判示した事例。

Bell Atlantic Corp. v. Twombly(2007) - Antitrust consipiracyの主張は、plausible(Injury, Market definitionの双方に関して。いい訳が思い浮かびませんが、「信憑性のある」)でなければならないと判示した事例。Plausibleであるといえるためには、consipiracyを推認させる事実の摘示を行うことを原告に要求しています。これにより、訴訟の初期段階で事実の整理ができ、企業側の大規模なDiscoveryの負担がかなり軽減されたようです。

Leegin Creative Leather Products v. PSKS, Inc. (2007) - Resale Price MaintenanceがRule of Reasonによって考慮される事を判示した事例。ただし、州によっては、まだPer se illegalの枠組みで判断されることに注意が必要です。

V. Per se illegal v. Rule of Reasonに関するまとめ。

A. Per se illegal for Competitorsと判断される類型が、
・Price Fixing
・Bid Rigging
・Customer Allocation
・Market/Territory Allocation
・Agreed Limitations on Output/Production
・Group Boycotts

B. Rule of Reasonの中で判断される類型が、
・Exclusive Territories or Customers
・Exclusivity Dealing Arrangements
・Tying, Loyalty Discounts or Bundling Arrangements
・Resale Price Maintenance
・Refusals to Deal / Dealer Termination

と分別されます。

VI. American Needle case
さらに、American Needleに関する解説もありました。これは、NFLのライセンシングに関わる事例で、耳目を集める事件なのですが、あまり自分のプラクティスや日系企業の法務とは関係がないので(NFLの団体の法的性質が論点になっていたりして)、割愛させていただきます。