3.18.2010

E-Discovery - Revisited Zubulake

2010年1月15日に、e-Discoveryに関する判決(オピニオン)が出ました。The Pension Committee of the University of Montreal Pension Plan et al., v. Banc of America Securities, LLC, et al., 2010WL184312 (S.D.N.Y.)

アメリカに拠点を有する日本企業にとって、e-Discovery対策というのは、大変重要であるにもかかわらず、対応できていないことも多々あると聞いていますので、ここでも取り上げさせて頂きました。

そもそも、米国のDiscovery制度は、日本の司法制度にはない制度であり、その重要性がわかりにくいところがあると思うのですが、自分の側にある証拠を適切に保全しないことに対するsanctionは重大で(制裁金、相手側のコスト負担、弁護士の活動制限(例:Argumentの時間制限)、さらにはそれだけで敗訴になることすらあります。CCP §2230等)訴訟戦略においても、Discovery対策は重要な位置を占めます。

特にe-Discoveryについては、電子情報の保全という技術的にも難しい点もありますし、今日における電子情報の重要性に鑑み、米国においては注目されているトピックです。

今回のオピニオンにおいては、この関連する情報がなくなっており、証拠の保全がされていないという事実は過失(negligent)が推定されること、状況によっては、重過失や故意であると認められる場合もあると述べられ、さらに、以下のような措置をとる必要があることを述べています。

1.訴訟が実際に始まる前の段階で、訴訟が開始されることが「合理的に予想される」場合には、書面により、legal hold notice(これ以降証拠を変更、処分、処理をすることができなくなること)を出す義務があること。
2.弁護士の監督の下に保管義務のある者(custodian)が関連証拠を保全するよう促すこと。
3.当該当事者の占有下、支配下にあるものであれば、従業員や取締役等の証拠(潜在的に関連のあるものも含む。)であっても、これを保全する義務があること。
4.バックアップテープについても保全する義務がある場合があること。
5.当該保全行為については、真摯に正確であること(scrupulous accuracy)を表明する必要があること。
6.当該保全行為について関与した者でかかる過程をしっかり認識している者がいつでも出廷して証言できるように準備しておくこと。

訴訟となる可能性のある紛争を抱えている企業はもちろん、そうでない企業も、少なくとも自社の文書管理規程(document retention policy)を、このオピニオンに基づいて、整理しておく必要があると思われます。


最後に、今回の投稿のタイトルについて疑問に思われた方のために、Zublakeというのは、これまでe-Discovery手続きの指針となっていた6年前のZubulake v. UBS Warburg, のケースのことで、このときにオピニオンを書いたJudgeと同じJudgeが書いたオピニオンということでも、今回の判断は注目されています。

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