5.17.2010

Product Liability 101

所内で行われたセミナーで、印象的だった点を記します。前提として、Product Liabilityが問題となるケースにおいては、多数の消費者が大企業を訴えるという構造になるのが通常で、当事務所は被告(defendant、企業側)の代理しています。

1.Product Liabilityのようなケースは、訴えられる企業にとって、相手は原告代理人であって、多数の消費者ではないこと。しかも、その原告代理人はSophisticateされていて、かなり手強いこと。
  • 大体のケースにおいては、原告代理人が率先して、原告に参加するように募り訴訟の遂行もリードすることになるようです。
  • 原告代理人の方がいいレストランやいいワインを知っていることが多い等それだけ成功している弁護士が多いそうです(笑)。
2.1.の点と関わりますが、原告代理人は被告の嫌がることであれば何でも行う(Press Releaseや多大な負担のあるDiscovery Request等)ことから、被告にとっても早期に代理人を選任して、原告代理人の活動に制限をかける必要があること。

3.代理人の選任に当たっては、訴えられた管轄に所属する弁護士(Regional Counsels)と共に(複数の管轄地で訴えられることが通常)、それらの弁護士をまとめるNational Counselを選任することも検討すること。
  • 特に、大都市ではない管轄地の場合、Product Liabilityのようなケースを扱える様な弁護士は数える程しかいないことが多いので、選任は早ければ早い程よいことになります。
  • National Counselの選任の要否は、In-house Counselで対応できるかどうかですが、National Counselの役割としては、全体の訴訟遂行方針を策定し、Discoveryの際の文書の管理等、さらにPleadingsやBriefsの統一(管轄地毎に矛盾が生じないように)など、膨大な作業量を迅速にこなさなければいことに留意が必要です。結局は、In-houseを含めた法務部の規模と当該訴訟の規模の比較の問題かと思われます。
4.上記以外に初動としてするべきことは、
  • 文書の速やかな保管(e-Discoveryの稿において述べたとおり)
  • 会社(被告)側証人(候補)の選定、及び、
  • 加入している保険条項の検討(多くの場合、保険会社への通知が必要)
が、挙げられます。

5.Multi-District Litigation (MDLs)
Trialの前段階において、複数の管轄地で提起された訴訟(Federal Casesについて。州によっては州内でMDLを認めている州もある。)について、訴訟を併合する手続きがあります。どんな手続きでもMDLを採用した方がよいというわけではなく、提起された訴訟の数や場所、事件の性質(ある一つの州だと勝つ可能性が高い等)を鑑みて、採用されることになります。どこの管轄に併合されるかについては、証拠収集(文書、証人等)のしやすさ、Judgeの経験,事件の場所等が勘案されます。因に、Judgeの経験という観点からすると、Eastern district of Louisianaの裁判所はMDLの訴訟遂行地として選ばれることが多いそうです。
今回のトヨタの訴訟など大規模な訴訟は、MDLによる他ないと思われますが、管轄地が二つや三つくらいであれば、採用するべきではない場合もあるかと思われます。

6.Company Witness
これは、Product Liabilityのケースに限った話ではありませんが、被告側証人というのは有利な証言をしてくれると思い込み、軽視しがちです。しかし、裁判において、被告側証人の証言のみによって勝つことはないが、同証言のみによって負けることはある(もちろん証人本人は会社側に有利になるよう証言しているつもりです。)、というのを肝に銘じておかなければいけないそうです。

表題のセミナーは第二回もあるようなので、その概要については稿を改めたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿