12.09.2010

Tips for taking California Bar Exam: Part III

引き続き、カリフォルニア州の司法試験(California Bar Examination)の受験体験記です。

今回は、どのような勉強方法を採ったかという点です。

A. Bar Briの授業について
Calのバーブリの講義は、MBE科目についてはNYバー用として出回っているノートの内容とほぼ同じです。なので、そのノートがある場合には、人によっては出席する必要はないかもしれません。
ただ、Non MBE科目とEvidenceについては、そこで入手する情報が重要なので、出席するのが有益かと思います。
私の場合は、Essay workshopというのが4回あるのですが、そのうちの真中2回は出ませんでしたが、それ以外は出ました。私の場合は、ノートに書いてあることを、ただ読むだけで全て理解できないと思ったことと、どの辺が重要なのかを講義でつかむため、ほとんど出席しました。
なお、PMBRは、模試は受けましたが解説講義は出ませんでした。時間がないのが主な理由ですが、詳細な解説本をくれるので、それを見れば不明なことはないと思います。

B. ノートについて、
MBE科目については、NYのノートを使いました。基本的に、コモンローの部分はNYのものといっしょなので、僕はNYのものを使っていました(NYのノートのNY Law部分を削れば、CalBar用のノートになります)。あと、科目によってはBarbriのMini(Conviser) reviewを使っていました。
巷で出回っているノートはバーブリの講義を忠実に再現したものです。Mini Reviewよりもさらに情報量が少ないですが、講義録に沿っておりMiniよりも流れがあるような気がしました。反対にMiniをベースにすると、問題を解いた後、知らないルールに直面しても、Miniのどこかに書いてあるということが多かったです(ノートベースだと、結構書き込みが多くなりました。)。ちなみに、私は、Crim Law/Crim Pro, EvidenceはMiniを使用し、他の科目は巷のノートを使用しました。どちらを使うかは、好みによると思います。
ただし、Bigといわれるバーブリのテキストは、情報量が多すぎて混乱を招くだけなので使わない方がいい、というのが日本人受験生(NYも含めて)の間でのコンセンサスになっているようです。

C.MBE対策について
一言で言うと、問題演習をひたすら解くことです。どれだけ、問題を解くかは、結構個人差があるみたいです。私の場合、合計で解いた問題は、PMBR6日間コースの50問×6と、(解いた順(つまり優先した順)に)Introductory 各17問、Intermediate各77問、赤本200問(ただし、刑法は160問(か180問)プラス刑訴が60問)、青本(科目によってばらつきがありますが、平均すると)半分くらい(苦手な科目を優先して解いたため。)、Advanced数十問程度(うわさどおり細かすぎることを確認する程度)、それにMixed100問程度、MBE模試、PMBR模試各200問、オンラインの実際の去年の問題100問です。
この問題集の区分けについては、現在呼称が変更されているようですが、中身はほぼ一緒(問題数は少し違うようですが)のようです。
ただ、Intermediateと赤本、MBE模試、PMBR模試については、間違った問題(ただし、単純な形式ミスが原因のものを除く)については、もう1回解きました。これは、MBE模試の後から始めました。まだ青本やAdvancedの問題集に解いていない問題もあり、解いていない問題と2回目をやるかどちらにするか迷いましたが、結局間違った問題の2回目を解くことにしました。どの科目のどのエリアで間違いが多いかとか、どのエリアがまだ理解不足なのかを知ることができ、これを補えたので、私の場合は、2回目をやって正解だったと思います。これは、1回目を解いた際にどれだけ、正確に間違えた問題を理解するかの問題で、確実にできる方であれば、2回目を解くのは時間の無駄でしかないと思います。
また、青本は科目のエリアごとに問題が配置されています(赤本は各論点ばらばらに配置されています。)。赤本と難易度は同じように思えました。また、赤本と異なり各肢がなぜ間違いなのかについて、細かく解説がされています。したがって、赤本まで辿り着ける自信があるのであれば、青本から解くことをお勧めします。赤本から解くのが一般的で、この種の試験で他の人がやっていることをやらないのはお勧めしません。

D. Essay対策について
問題は、日本の司法試験の事例問題に似ている気がしました(あるいはやや簡単?)。バーブリが過去問の問題集を用意してくれるので、これをPaced Programに従いながら、答案構成をしたり、実際に書いたり、書いたものを提出して採点を受けたりします。上記問題集のほか、Essay Work Shopが合計4回あり、その中でも上記問題集に入っていない問題をときます。上記講義は、基本的には日本の司法試験予備校の解説の方が、レベルが高いと思いますが、出て全く意味がないということはないと思います。ちなみに私は4回中最初と最後の講義には出席して、真ん中2回の分はレジュメだけ見て終わらせました。
さらに、State Bar of CaliforniaのWeb siteに、2001年頃からの過去問と優秀答案が載っています。私は、これについても数年分解きました(ただ、優秀答案は余りに優秀で、自分の答案や構成と比較して落ち込まないことが重要かと思います。。。)。
なお、日本の司法試験の違いとしては、こちらのBar Examは絶対評価なので、「人とどうやって差をつけるか」という思考方法は不要で、「いかに人と同じことを書くか」という視点が重要だと思います(いくらカルバーの合格率が低いとはいえ、CaliforniaのABA CreditのLaw Schoolの卒業生のFirst time takerの75%以上が合格する試験なので。)。また、バーブリのSample Answerを見れば納得いただけるかと思いますが、とにかくたくさんのIssueをあげて(多少Remoteでも)、IRACの形式で結論付けることが大切で、論点間のつながりとか、筋のよさというのは二の次のようです。これは実務に携わっていると、なかなか大変な思考回路ですが、大多数の受験者がLaw Schoolでたてで、Law Schoolの試験ではとにかく論点を挙げまくって、いい点を取ってきた連中が、そのような方式を取るので、そのような形式をまねた方が無難だと思いました。

あと、勉強方法としては、答案構成をしたらすぐSample Answerをみるという方法をとることが多く、1時間時間を計って解くという時間が余り取れませんでした。私が問題を実際に書いたのは、バーブリに提出した4問、バーブリが行う模試6問にプラス自分で時間を計って解いた5,6問だけだったと思います。バーブリの講師は、口をすっぱくして答案構成だけではなく、実際に1時間で書けといいますが、実際に本試験を受けてみて、やはりもう少し実際に書いた方がよかったなと思いました。私の場合、本試験だと、より丁寧に書こうという意識があるのか、時間切れになる問題が多く、時間配分は余りうまくいかなかったと思っています。時間配分のトレーニングのために、できるだけ多くの答案を実際に書くことをお勧めします(ただ、実際には時間との兼ね合いで難しいとは思うのですが。敢えて。。)。

E. Performance Test (PT)対策について
これはPaced Programで指定されている問題以外はやりませんでした。答案構成だけでも、1時間半程度かかり、これには余り時間を割く余裕がありませんでした。
PTは法律を知らなくてもRuleが与えられているので、できるというのが建前ですが、実際に出る問題は、既存のRuleの枠組みはそのままで、要件が少し変わっているとか、その程度の違いしかないように感じました。また、いきなり破産法やら知財の問題が出るわけではなく、試験科目の中から出ます。したがって、Essayの勉強をすれば、PTの問題にも対処しやすくなると思います。

12.07.2010

Tips for taking California Bar Exam: Part II

引き続き、私のカリフォルニア州の司法試験(California Bar Exam)受験体験記について。

今回は、勉強のスケジュールについて私がしたことや感じたことをまとめます。

A. PMBR 6日間コース (冬)
PMBRというMBE対策専門の予備校は、年末に6日間でMBEの対策をするコースがあります。年末までに5月に受講するコースを申し込めば、年末の分(これは2月の試験用のもの)をただで受講できるという仕組みになっていました。このコースを受講することには賛否両論あるようですが、僕はこれを受けました。わからないことだらけのまま、6日間を終えてしまいましたが、大体どんな問題が出るのかを把握する(そして、大変な試験だということを実感する)、科目の大まかな体系を理解する、分からない単語を調べておく(5月に調べる手間を省く)、という意味では役に立ちました。

B.       年末後春学期終了まで
基本的には、ロースクールの勉強に専念していましたが、行き帰りの車の中で、PMBRでもらったCDを流していました。最初は、何を言っているのかさっぱりわかりませんでしたが、バーブリが始まり、試験直前になると、授業の内容や勉強した内容と照らしわせながら聞くことができるようになり、いい復習になっていました。年によって、CDの内容が変わっているかもしれませんが、基本的にPMBRの専属の講師が担当している科目はわかりやすかったです。僕の持っているものだとContractsは大学の教授が担当だったのですが、最後まで何を言っているのか理解不能でした。
また、実際に勉強というわけではありませんが、もらったノートの中から、どのノートをベースにして勉強するかだけは、予め決めておきました。NYバーの合格体験記や合格者の話を聞いていて、落ちるパターンの中に、いつまでたってもどのノートで勉強するかを決められず、情報の一元化ができないというのがあると聞いており、短期間で準備する試験である以上、すぐスタートが切れるようにしておきたかったからという理由からです。ノートの内容については後述します。

あと、試験関係でしたことは、MPRE(3月)ぐらいです。試験2週間前から、ロースクールのアサインメントの間を縫ってやっていたので、実質2,3日くらいの時間しか取れなかった気がしますが、それだと、お恥ずかしながら、合格ぎりぎりのラインしか取れませんでした。。予想以上に、難しかったです。

C.      春学期終了後PMBR6日間コースまで
私は、春学期の試験終了後すぐ勉強をはじめました。
PMBRの6日間コースを受けるのに、年末と同様にまっさらの状態で受けても仕方がないと思って、それまでにMBEの科目のノート(6科目分)を読んで、わからない単語をメモしたり、わからないコンセプトやルールにマークしたりしておきました。

D. PMBR6日間コース (春)
PMBRの6日間コースでは、年末に一度受けていたということもあり、午前中PMBRの校舎で50問とき、午後の解説は聞かずに、図書館に行って自分で復習していました。また、その頃になると、Barbriの資料が届けられる(またはとりにいく)ので、次の日の科目の予習として、17問のIntroductoryとWeb上の解説(これは結構評判が良いです。)を聞いていました。

E. Barbri期間中(前半)
基本的にBarbriで配布されるPaced Programというのに沿ってやっていましたが、当然のことながら、PMBRの演習問題(赤本と青本)をとく時間が入っていないので、その部分を加える必要があります。私の場合は、Advancedの問題は、要求する知識が細かすぎるという噂だったので、Advancedの問題は解かずに、Intermediateと赤本をまず解いていきました。それでも、3、4日で1科目を終わらせるペースでバーブリは進んでいくので、その間にIntermediate77問と赤本200問をやるのが精一杯でした。あと、EssayはPaced Programに従って書いていました(実際に1時間で書けという指示を、答案構成だけで済ませることはありましたが。)

上記は、MBE科目のときの流れですが、途中で2週間程度Non MBE科目の授業が入ります。そのときに、MBEの問題演習の遅れた分を取り戻したり、科目によっては青本を解き始めたりしました。

F. Barbri期間中(後半)
どこで、Barbriを受講するかによりますが、大体6月終わり頃にMBE模試があります。
私の場合は、そこまでにIntermediateと赤本はすべて終わらせ、それまでに、科目がミックスになっている問題をやったことがなかったので(日本の択一試験と異なり、本試験は科目がミックスされている)、そのトレーニングをするために、ミックス問題集を50問程度解きました(ただ、この問題集の難易度がそれ程高くなく、あまり参考にはなりませんでしたが。要は、問題文を一番上から読むのではなく、一番最後のCallの部分と答えの選択肢を読んで、何の科目のどんな論点かを把握するのがいいとのことでした。)。


私の場合は、LAで受けたのですが、ちょうど本試験の1ヶ月前にMBE模試があり、それから2週間後にPMBR模試があり、その意味では調整がしやすかった気がしました。
また、MBE模試とPMBR模試の間にEssayの模試があり、この期間はMBEを重点的に勉強する週とEssayを重点的に勉強する週とを隔週で繰り返していました。
PMBR模試後は、幸い模試の点数もそれ程悪くはなかったし(両方とも119点)、まだEssayの完成度に自信がなかったので(特に、今年から加わったEvidenceのCal部分とCivil ProcedureのCal部分)、Essayを重点的に勉強しました。
さらに、NCBEが去年のMBEの問題を100問だけオンライン上で販売しています(20ドルくらい。オンライン上でしか解くことができず、毎年試験が終わると見られなくなってしまうようです。)。私は、これも試験の1週間前に最近の傾向に慣れるために、解きました。
結局、この期間MBEの勉強は、主に下記に触れるとおり、Intermediateと赤本、2回あった模試の間違った問題の見直しに焦点を絞っていました。

G. その他全体的なスケジュールについて
(1)いつから勉強を始めるべきか。
なるべく早く始めるにこしたことはない、というのが一般的に言われていることかと思います。
が、MBEは、ご存知のとおり200問(100ページ)を6時間で解く試験です。ネイティブであっても最初から時間内に解くのは難しいという話も聞きます。このテクニックは、2ヶ月間集中して訓練して身につけるもので、ピークのときに試験を受けるとその一瞬だけ解けるようになる、というのが一般的にいわれているイメージです。
なので、私の個人的な意見としては、卒業後試験までに集中して、MBE対策をするのがお勧めです。逆に、エッセイとかPTの部分は長期間で少しずつやる勉強の方が向いていると感じました。最後まで、自分の型みたいのを作ることができず、苦労しました。もし、卒業前に、バーの勉強をする余裕があるのであれば、ノートを見て、エッセイやPTを解いてみるのは役に立つかもしれません(バーブリの資料が手元になくても、State Bar of CaliforniaのWebsiteに過去問が載っています。)。

(2)勉強時間合計
私の場合、5月の初めくらい(ロースクールのテストがおおむね終わってから)から受験日の7月末くらいまで、朝9時くらいから夜8時くらいまで&帰宅後1、2時間勉強していました。UCLAの図書館が閉まるのが早かったので一日の勉強時間はこのくらいでしたが、他大学の人の中には夜12時くらいまで図書館にこもる人もいたみたいです。 半日休むことはありましたが(これもUCLAの図書館が土曜日4時とか終わってしまったり、日曜日は午後1時からしか空いていなかったりしたため)、丸一日休むことは一度もなかったです。ただ、3ヶ月弱の期間だし、睡眠時間は毎日ある程度とっていたので、それ程体力的に辛いとは思いませんでした。むしろ、休む方が、精神的に不安をあおられていたような気がします。


11.25.2010

Tips for taking California Bar Exam: Part I


ニューヨーク州の司法試験の結果発表から遅れること2週間、先週末に漸く、2010年夏のカリフォルニアバー(カリフォルニア州の司法試験)の発表がありました(妻は無事合格していました!)。
そろそろ、来年に向けて情報収集を開始する方もおられるかと思い、私のカルバー(Cal Bar) 受験体験記を、その後追加して入手した情報と共に、何回かに分けて提供したいと思います。なお、NY Barの情報は、基本的には私が受験した2007年の際に収集した情報を元にしているので、現在とは異なることがあるかもしれません。ご了承下さい。

まず、初回は、NYバーとの違いについて。
よくNY Barに比べると、CA Barの方が難しいと言われます。
確かに、外国人のFirst time takersの合格率だけをみると、NYでは大体50%くらいなのに対して、CAでは2割程度です。
ただ、受験者数が圧倒的に違いますし、下記の通り、日本で実務経験のある弁護士にとっては、どちらが簡単かというのは一概には言えないように思います。

1.MBE (択一)
テスト自体は、50州共通のテストなので、一緒のものです。
大雑把ですが、NYではScaleで130点台、Rawで110点台後半を取る人が合格者の9割と言われているのに対して、CAでは各々140点台、120点台が要求されているようです。
この10点差がどのくらい重いかということですが、感覚的には、日本の択一で合格点が2~3点違うというイメージでしょうか。
ちなみに、今年の受験者の全国平均は143点らしいです。


2.Essay
 CAは全部で6問を各1時間で解くのに対して、NYは4問を各45分で解くので、CAの方がたくさん書く必要があります。
そのため、試験期間がCAは3日間あります(NYは2日間)。
勉強する範囲は、科目数はCAが(数え方にもよりますが)14に対して、NYは20数科目ありますが、NYでは細かい科目(例えば、レジュメ1枚で終わるような科目)や殆ど出題可能性がない科目もあるらしく、特定の科目を重点的に勉強することになるそうです(例えば、憲法はEssayではほぼ出題されないらしい。)。
これに対して、CAは満遍なく14科目が出題され、しかもたまにすごくマイナーな論点が出たりします(しかも、日本の司法試験と違って、絶対評価なので、マイナー論点でも一通りのことを書く必要があります。)。
CAとNYとの一番の違いはこの点だと思います。
時間はCAの方が長いですが、45分の間に1通仕上げないといけない方が大変ということも出来るかもしれません。実際に、本試験では1時間でも、時間内に仕上げるのは相当辛いです(書かなければいけないことが多いという意味で。)。なので、その点は余りデメリットだとは考えませんでした。
なお、Essayの試験範囲は、2007年の夏から増えていて(主にコモンローしか聞かれなかった科目がCAの State lawについても聞かれるようになりました。)、私が受験した年には幸い聞かれなかったものの、その後は、結構聞かれているようなので、注意が必要です。


3.PT (Performance Test)
CAは、CA独自の試験で2問を各3時間で解くのに対して、NYでは1問を90分で解きます。
これは、 日本の司法研修所の起案に少し似ていて、FactsとRulesが与えられて、問題に適切なRuleをピックアップして、それに与えられたFactsを当てはめていくというもので、実務を経験している者にとっては入っていきやすい試験形態だといえます。最初演習問題をやったときは、難しいと感じましたが、段々慣れていき、実際、私もPTだけは出来たという自信がありました。
CAはPTの比重が重いので(26%、NYは10%くらい)、この点はメリットといえると思います。


4.その他
他にも、カリフォルニアに居住している方であれば、AlbanyやBaffalo(NY州の郊外)まで移動しなくていい、時差調整をしなくてもいい(カリフォルニアにいながらNYを受けるには、時差を考慮して、毎日朝4時くらいに起きて体を慣らしておく必要があるそうです。)、パソコン受験が保証されている(NYは抽選)、というメリットもあります。(ちなみに僕はハンドライトでしたが。)
なお、CAの受験料は高い!(私も受験を決めてから気づいたのですが。。。) です。NYは250ドルでいいのに対して(但し、2011年からはかなり高額になるそうですね。)、CAだと1400ドル位します(登録料160ドル、受験料700ドル、モラル認定料400ドル、その他PC受験料100ドル等諸費用)ので、ご注意を。

11.24.2010

FCPA: Strong and Getting Stronger

表題のWSJの記事のご紹介。

ここ2年の罰金の総額が$2 billionというのは驚きです。
あと、半分以上のケースが、非米国企業又は非米国企業の子会社という点にも留意が必要ですね。

最近投稿が少ないので、取り急ぎ簡単に。

11.03.2010

Developing A Discovery Plan

日本とアメリカの訴訟の仕組みにおいて、最も大きな違いの一つと言ってもいいのが、このDiscoveryの手続きです。

既に本ブログでもe Discovery等については触れていますが、本稿ではDiscovery全体の手続きについて概観したいと思います。

なお、Discoveryの定義ですが、民事手続においては、Trialの前にその準備のために、当事者が互いに、事件に関する情報を開示し収集する手続であり、争点を明確にさせる情報など広く訴訟物に関連性のあるいかなる事項を含むので、「証拠開示」という訳語は狭すぎるとされ、「開示手続」と訳すのが適切であるとの記載があります(田中英夫「英米法辞典」)。

Federal Courts v. State Courts
当然のことながら、手続きの根拠となる法令が異なります。ただ、一般的にFederalの方がよりformalで、かつ、federal judgesがそれぞれのmodel formを持っていることが多いです。
以下の説明は、主にFederalの手続きを対象とします。

Early Conferences
原告が訴状を提出した後、当事者間でEarly Conferenceを行います(FRCP 26(f))。この時に以下の事項を検討します。
  • 当事者間の請求、抗弁の内容,根拠
  • 和解等早期に訴訟を終結できるかの可能性
  • Rule 26(a)(1)(後述)に基づくDiscoveryのアレンジ
  • Discoveryの対象となる情報の保存(Preserving)に関する問題点
  • Discovery Planの検討
その後、14日以内にDiscovery Planを提出し、その後、裁判所においてPretrial Conference(Schedule Conference) が行われます(FRCP 16(a))。

Discovery Plan

記載内容は以下のとおりです(FRCP 26(f)(3))。
  • Description of Case.
  • Deadlines for amendments.
  • Requests for Admission
  • Document discovery deadlines.
  • Interrogatory deadlines.
  • E discovery.
  • Depositions.
  • Expert Discovery.
  • Motions for summary judgment.
  • Pre-trial orders.
  • Trial.
以下、各項目につき説明します。


A. Description of Case
これは、中立的な記載にとどまるものです。ですので、ここで記載について争うことはあまりないようです。

B. Amendments
当事者や請求の追加を行います。

C. Requests for Admission
争点整理手続きの一種で、当事者間において争いのない事項を明確にすることにより、その後のDiscovery手続きを効率的に進めることができます(FRCP 36)。

D. Production of Documents
    1. Voluntary 26(a)(1) Disclosure
 当事者が自らの請求の根拠となる資料等を開示することです。

    2. Discovery Request.
上記に加え、相手方から本件訴訟に関連する資料を請求します。
日本法でも、文書提出命令(民訴法220条)がありますが、文書を特定するべき範囲が全く異なります。
FRCP26(b)によれば、claimに関連するものであればprivilegedな資料以外はほぼ全て提出しなければいけません(なお、Federal, 各State, County, Judgeにより制限が課される場合があルコトに留意する必要があります。FRCP 34参照)。なお、Privilegeについても、日本法下においては馴染みのない概念ですので、稿を改めて説明したいと思っています。

したがって、ここで当事者間で交換される資料は膨大なものとなる傾向があります。特に、今般関連する資料は電子化されていること(特に電子メール)が多く、これにより、資料の量が更に増加傾向にあるといわれています。
例えば、現在私が関わっている訴訟では、当事者側の資料の精査だけで1年半かかっています。さらに、相手側の資料の精査,後述のDeposition等の手続きにも膨大な時間を費やす必要があることはいうまでもありません。

    3. e Discovery
 この点については、先の投稿の他、改めて、稿を設けて説明したいと思います。

E. Interrogatory
質問書と訳されるのが一般的で、訴訟の一方当事者から他方当事者に対する書面による一連の質問で、訴訟の追行に必要な情報の獲得を目的とするとされています(田中英夫「英米法辞典」)。この手続きについても、Federal, States, Local, Judgeによる制限が課されていることがありますので、留意する必要があります。

F. Depositions
書類のDiscovery手続きに基づき開示された書類の精査が終わった後に行われるのが一般的で、当事者同士で、関係者(当事者以外の第三者も含む。)の供述を録取する手続きです。通常、Depositionを請求した側のカウンセルのオフィスで行われます。そこで、ビデオを撮影し、Testimonyを作成し、証拠化されます。稀に、当該手続きにおいて、当事者間では解決できないような問題が生じた場合には、裁判所に電話をする等の形で、裁判所が一定程度関与する場合があります。

このDepositionの手続きの中で留意するべきなのが、Rule 30(b)(6) に基づくDepositionsです。ある事実に関するDepositionを請求する場合、請求する側は、企業や団体名のみを指定すればよく、指定された企業、団体は、当該事実について、最も適切な者を指定する義務を負います。このようにして、できるだけ多くの関連情報が証拠として提出されることを担保しています。


G. Expert Witness Discovery
専門家による証言手続き(日本法による鑑定人)です。一般的にPre trialの最後に行われ、最初にExpert Reportを交わし、その後Expert Depositionsが行われます。

H. Summary Judgment
Trialでの事実認定の手続きを経ないで、法律問題だけで本件訴訟を解決する場合に下される判決です(FRCP 56)。
Trialを経ないで紛争が解決するのは当事者の負担を考えると、重要なことで、この段階で、種々の点を理由とするmotion (申立て)を提出することが多く見受けられます。


11.02.2010

Election Protection



アメリカでは、本日11月2日はMidterm Electionの投票日でした。

私が所属している当事務所では、プロボノ活動の一環として、上記のプログラムのコールセンターが設けられ、一番大きい会議室にPCと電話機が何台も並べられ、ボランティアが対応にあたっていました。
私自身はあまり関与していなかったので、確かではないのですが、投票を拒絶されたりして、うまく投票できない人たちのためのコールセンターのようです。簡単な例では、投票所を間違えたり、時間になっても投票所が開かないの様な問題のようですが、不当に投票する権利が害されていないかをチェックする機能を果たしているのではないかと思われます。

日本では、選挙日当日に投票を拒絶されたり、問題があったり、するという話は聞いたことがないので、今日一日、何十人ものボランティアがひっきりなしにかかってくる電話に対応しているのを、物珍しく傍観しておりました。

10.31.2010

Employment Risk Management

先日、Japan Business Association of Southern Californiaという経済団体が主催するセミナー(講師:Lisa Kitagawa先生、望月良子先生)が開かれましたので、聴講してきました。

私が気になった点が中心となりますが、簡単に紹介したいと思います。

1. Job Application
  • 年齢の欄は設けない。アメリカでは、年齢に基づく差別は下記の通り違法です。
  • At willであることを明確にする。
  • Reference Check Releaseを設ける。これは、前のEmployerに申込者の前職での職務状況について聞いても良いことを同意する旨の文言です。これにより、実際に面接をする前にも、前のEmployerに話を聞くことができ、スクリーニングをかけられます。
  • 種々の申込資格への制限についても、Bona Fide Occupational Qualificationであれば許される(例えば、女性洋服のモデルの応募資格を女性に限る場合等)。
2.Interview
  • 質問は職務に関与する範囲で行うことを念頭に置く。個人的に日本でのリクルート活動を経験したわけではないので、日本での面接の実態について精通しているわけではありませんが、一般的な日本での面接と比較しても、かなり厳格に考えた方が良いと思います。
  • US Federal Equal Employment Opportunity Lawsにおいては、下記の項目に基づく差別を禁じています。詳細はこちら
    • Age
    • Race
    • Color
    • Gender
    • National Origin
    • Genetic Information
    • Religion
    • Disability
  • 日本の憲法14条列記事項と似ていますが、異なるところとしては年齢の項目がある点です。障害についても、憲法14条には列記されていませんが、障害者基本法がカバーしていると理解しています。
  • さらに、Californiaでは、下記の項目に基づく差別を禁じています。詳細はこちら
    • Medical Condition
    • Marital Status
    • Sexual Orientation(性的指向)
    • Pregnancy, childbirth
  • 例えば、Marital Statusについては、勤務時間帯を示してこの時間に働くことに支障はあるか、とか、出張勤務をするのに問題があるか、という聞き方をすることになります。
3.Job Description
  • これも日本においては、馴染みの薄いものかもしれませんが、Job Descriptionにおいて職務内容を明確にする必要があります。
  • また、ここで、雇用者と従業員との間で、当該従業員がexemptなのか、non-exemptなのかを明確にしてお互い了解を得ておくというプロセスが重要。なお、exempt employeesに分類されますと、雇用者は従業員にOvertime payを支払う義務がなくなります。どのような場合がexemptなのかについては、ケースバイケースの判断になることが多く、故に、よく訴訟の原因になる点でもあります。公的なものではありませんが、こちらが参考になります。
  • 職務内容の項目の最後に、catch all条項をつけておくことをお勧めするとのことです。
4.Posters
  • どのような項目、内容について職場に貼り出しておかなければいけないかについては、Federalについては、こちらを参照。Californiaについては、こちらを参照。
5.Employee Handbook
  • 日本法上の就業規則に相当するものですが、就業規則よりもより詳細に、ページ数も多いことが一般的です。
  • ここでも、At willであることを強調することが重要です。
  • さらに、Electronic Communicationの取り扱い、Internal Complaint Proceduresについても、留意して作成する必要があります。
6.Arbitration Agreement (仲裁契約)
  • 雇用者と従業員との間で何らかの紛争、問題が生じた場合には、訴訟ではなく、仲裁によって解決する旨を予め定めておくものです。
  • 通常は、Employee Handbook、同Handbookの受領通知(Acknowledgement and Agreement)の両方に記載があります。
  • そもそも、この仲裁同意条項を設けるかどうかも検討する必要があります。米国企業においては、仲裁手続きによると控訴できない(一回の判断で決まってしまう)ことから、仲裁同意条項を設けないという判断をすることもあります。
  • しかし、個人的には、日本企業は同条項を設けたほうがいいのではないかと思っています。米国の訴訟制度には、Discovery手続きがあり、かかる手続きに日ごろから備えている日本企業は少ないように思います。また、陪審制も日本企業にはなじみのない制度ですし、Juryがどのような判断を下すかの予測可能性が少ないとも言われます。
  • ただし、仲裁手続きにおいても、手続きをどう進めるかは、当事者間の合意又は採用された仲裁廷のルールによりますので、Discoveryの手続きが存在する場合もあります。従って、仲裁同意条項にどのルールを採用するべきかについては、慎重な検討が必要だと思われます。
  • また、同条項を設ける際に、Consideration (対価)を提供する必要がある場合があります。締結後変更する場合等には、2週間程度の賃金や追加休暇(PTO)をConsiderationとして提供することを勧められていました。
7.離職時の手続き
  • 従業員は、At willのステータスであるのが通常ですので、いつ従業員との契約を終了させてもよいことになります。ただ、差別に基づく解雇は違法ですので、他の従業員と比して、公平な観点から契約を終了させることが重要になります。
  • レイオフ等離職時に2週間分等の追加給与を与える例がありますが、これは義務ではありません。
  • レイオフや解雇等の場合には、その後当該従業員が不正を働かないか注意をする場合もあります。
  • Separation & Release Agreementは、従業員に離職手当を与えることを対価として、会社に対して一切の訴えを提起しないことを約する契約です。もし、従業員が40歳以上の場合には、本書面の締結に際して21日以上の考慮期間を与える必要があり、もし、40歳以上の従業員が2名以上離職する場合には、45日以上の考慮期間を与える必要があるとのことです。また、法定記載事項もあるので留意する必要があります。
8.その他
FLSA(Fair Labor Standards Act)に関する説明をしたDOLのサイトです。ご参考まで。