3.21.2010

Business Seminar in Newport Beach

今回は、法律ネタではありませんが、私の大学の同窓会主催のビジネスセミナーに出席しましたので、そこで印象に残ったことを徒然に記します。

スピーカーの方は、30年日本の一流企業のアメリカ現地法人の社長としてご活躍され、現在もロサンゼルスにて有名な日系の慈善事業団体の理事を通じて社会貢献をしておられる方です。

大変貴重なお話を伺うことができましたので、印象に残った点をいくつか書き留めます。

1.日系企業の技術
日本の経済が戦後奇跡的な回復を遂げ、世界の1、2を争う規模になるまでになったのは、日本の企業(特に製造業等)の有する技術が優れていたということも一つの理由になったかと思いますが、これは、何も戦後一から築き上げたものばかりではなく、戦前から(軍や政府主導という部分も多かったようですが)脈々と受け継がれたものも多いということを知りました。
もちろん、戦後すぐには粗悪品が流通していたということも事実だとおもいます(今とは反対に、戦後すぐは"Made in Japan"と言えば劣悪品というイメージがあったようです。)。

2.GHQの貢献
スピーカーの方によりますと、マッカーサーは日本の経済は自律的な回復をしていかなければならないという信念があったようで、例えば、戦後間もなくフォードが戦前から有していた自動車の組み立て工場を再開しようと、人員を派遣しようとしたところ、上記のような信念のもとかかる人員に対するビザを発給しなかったということがあったそうです。

3.アメリカでの成功のカギ
A.宣伝の重要性
具体的には、Ad Agencyを起用するなど米国流にMarketing, Sales活動を展開していくべき、例え技術を持っていたとしても、この点をおろそかにして成功することはないことを強調しておられました。特に、今般のトヨタのような逆風下の環境においてこそ、宣伝への投資というのは重要であることを述べられていました。

B.アメリカ人にとって、日本人はミステリアスであることを認識すること
日本人も、アメリカに来た当初はアメリカ人の考え方等で認識が異なり、面食らうことが多いと思いますが、日本人のアメリカ人に対するイメージ以上に、アメリカ人は日本人がどういう事を考えているのか(一個人がどういう人間なのか)が分からないのだということを認識する必要があるとのことでした。そして、この点を打破するため、社内旅行をしたり、気軽に話し合える組織を設けたりと色々腐心されたそうです。
もちろん、自分がどのような人間かをアメリカ人にわかってもらうのは、言葉の壁もあり、一朝一夕にはいかないと思います。その意味で、2年や3年程度で配置換えになってしまうような駐在制度を持つ企業(や領事館)には批判的でした。
このことは、アメリカ人(や社会)が日本以上に、個人と個人のつながりを大事にするのだと言うことが前提のアドバイスだと感じました。

C.アメリカ人の情報の取り扱い方
アメリカ人は、情報を資産と考え、より慎重に扱う傾向があるとのことでした。あるアメリカ人の部下に社内の機密情報を提供し、その対応について相談したそうです。スピーカーの方は、同僚と相談することを暗に期待していたようですが、そのアメリカ人はそのような貴重な情報をむやみに共有することはないようです。

D.雇用条件
アメリカ人の中にも、終身雇用(待遇が若干悪くなっても)を望む人は多いそうです。
ただし、人をクビにする際は、訴訟リスクに対応するため、severance payを多くするなど、不満を持たれないように行うのが肝要だということでした。

4.まとめ
歴史的な経緯について勉強になりましたし、アメリカのローファームで、アメリカ人に混じって働いていく中で、日頃何となく思っていたことが、うまく整理され、今後の働き方にも多いに参考になるセミナーでした。

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